須磨寺の「お大師さん」とは?

2025-10-20

地域情報

須磨寺の「お大師さん」解説

須磨寺の「お大師さん」とは?—神戸の弘法大師信仰の中心

神戸市須磨区にある大本山 須磨寺(じょうやさん 福祥寺)は、源平合戦「一ノ谷の戦い」の舞台として非常に有名ですが、地元や阪神間では古くから「須磨のお大師さん」という愛称で親しまれてきた、弘法大師・空海(くうかい)への信仰が篤いお寺です。

この「お大師さん」信仰こそが、須磨寺を単なる歴史の古刹に留まらせず、現代まで多くの人々の生活に深く根付かせている、重要な柱の一つです。


弘法大師・空海という存在

「お大師さん」とは、言うまでもなく、平安時代に真言宗を開いた弘法大師・空海を指します。彼は、仏教界だけでなく、日本文化全体に多大な影響を与えた天才であり、「日本のレオナルド・ダ・ヴィンチ」とも称されるスーパースターです。

1. 天才的な功績

  • 真言密教の開祖: 遣唐使として命がけで中国(唐)に渡り、当時の最先端の教えである真言密教を習得。帰国後、高野山を開き、日本独自の密教として確立しました。
  • 文化・土木の偉人: 灌漑用のため池の修築を指導したり、庶民のための学校を設立したりするなど、社会事業家としても活躍しました。
  • 書道の達人: 嵯峨天皇、橘逸勢と共に「三筆」に数えられる書の名手です。

2. 「生きている」という信仰

真言宗の信仰において、弘法大師は亡くなったのではなく、「入定(にゅうじょう)」という永遠の瞑想に入り、今も生きて人々を救い続けていると信じられています。

この「入定信仰」があるからこそ、空海は千年以上経った今でも遠い歴史上の人物ではなく、「いつもそばにいて見守ってくれる親しみやすい仏様」として、全国の人々から愛され続けているのです。


須磨寺と弘法大師信仰の深い縁

須磨寺は、創建は古いものの、本尊は聖観世音菩薩です。では、なぜ「お大師さん」信仰が深く根付いたのでしょうか。

1. 高野山に代わる「お大師さんの道場」

  • 地域の拠点: 昔は交通が不便で、真言宗の総本山である高野山(和歌山県)まで簡単にお参りに行けませんでした
  • 信仰の中心: そこで、神戸から阪神間、播磨一帯の人々は、身近にある須磨寺を「高野山の代わり」として、弘法大師を篤く信仰するようになりました。須磨寺は、神戸地域の弘法大師信仰の中心的な道場となったのです。
  • 大師堂の存在: 境内には弘法大師を祀る大師堂が建立され、多くの人々がここでお大師さんとご縁を結んでいます。

2. 「敦盛の首洗い池」と大師堂

須磨寺を有名にした源平合戦の悲劇も、お大師さん信仰の舞台の一部となっています。

源氏の武将・熊谷直実に討たれた平敦盛の首が清められたとされるのが、大師堂の前に今も残る池です。源平の哀話と、人々の苦しみを救うお大師さんの存在が、同じ空間にあり、訪れる人々に深い感銘を与えています。


お大師さんの縁日」—現代に生きる信仰

須磨寺の「お大師さん」信仰を最も実感できるのが、毎月行われる「大師縁日(だいしえんにち)」です。

  • 毎月20日・21日: これは、弘法大師が永遠の瞑想に入られたとされる3月21日にちなむものです。この日は、弘法大師と特別な「ご縁」を結ぶことができる日とされています。
  • 境内は大賑わい: 縁日には、ご先祖様への感謝を捧げる**護摩祈願**など様々なお勤めが行われます。そして、参道から境内にかけて多数の屋台や露店が立ち並び、多くの参拝者で賑わう、地域の一大イベントとなっています。

須磨寺のお大師さんは、単なる歴史上の偉人ではなく、人々の暮らしに寄り添い、力を与え続けている、神戸の街を見守る「心の柱」なのです。

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