実家じまいの方法

実家じまいの方法

実家じまいの方法:後悔しないための完全ガイド

「実家じまい」とは、親の住まいを整理・処分し、家族の歴史に区切りをつける一連のプロセスです。これは単なる不動産の処分ではなく、親子にとって心理的・経済的負担の大きい人生の重要な決断となります。

実家じまいを「負動産」化させないための具体的な手順、費用、そして後悔しないための心構えを詳しく解説します。


ステップ1:心構えと準備—後悔しないための土台作り

実家じまいは、物理的な作業に入る前に、家族間の合意形成親の意思確認が最も重要です。

1.1 家族・親族間での合意形成とリーダー決め

  • 話し合いの切り出し方: 親の気持ちに寄り添い、親の意思に反する形で進めないことが大切です。「将来の経済的負担軽減」をキーワードに、親の心に寄り添い、問いかけベースで話を始めましょう。
  • 目標と役割の明確化: 「いつまでに」「誰が主導して」という目標を明確にし、実家じまいを主導するリーダー(担当者)を決めます。

1.2 相続発生前後の確認事項(特に相続登記)

  • 相続登記(名義変更): 親が亡くなっている場合、不動産を売却・解体するにしても、まず相続登記を行い、所有者を明確にする必要があります。2024年4月からは相続登記が義務化され、期限を過ぎると過料の対象となるため注意が必要です。
  • 建物の現状把握: 役所で固定資産税評価証明書を取得するなど、現状の価値を把握しておきます。

ステップ2:家の片付けと遺品・不用品の整理(最大難関)

家財道具の整理は、実家じまいの工程の中で最も時間と労力、そして感情的な負担がかかる部分です。

2.1 「思い出の品」と「不用品」の仕分けのルール

  • 仕分けの順序: まずは貴重品や権利書、アルバムなどの「思い出の品」を優先して仕分け・確保します。
  • 「モノ」ではなく「思い出」に寄り添う: 処分に迷う品が多い場合は、「写真に残す」「一部だけを記念品として残す」など、モノそのものではなく、思い出を大切にする方法を提案しましょう。

2.2 不用品の処分方法と費用

処分方法 費用目安
自力処分(ごみ処理、リサイクルなど) 数千円~数万円
専門業者に一括依頼(遺品整理など) 30坪程度で10万円~100万円(モノの量や立地による)

遺品整理の専門業者は、時間や労力を最小限に抑えられますが、費用は高額になるため、複数社から見積もりを取りましょう。


ステップ3:不動産の活用方針の決定と実行

家の中が片付いたら、不動産を**「売却」「賃貸」「維持・解体」**のどれにするかを最終決定し、実行に移します。

3.1 「空き家」として維持するリスクとコスト

誰も住まなくなった実家をそのまま放置するのは、最もリスクの高い選択です。

  • 「負動産」化のリスク: 空き家は急速に劣化し、建物の価値が失われ、資産から負債(負動産)に変わります
  • 固定資産税の増額: 特定空き家に指定されると、住宅用地の特例が解除され、固定資産税が最大6倍に跳ね上がります

3.2 売却・解体の手順と費用

最終的に実家を手放す場合、**「現状のまま売却(古家付き土地)」**か**「解体して更地で売却」**の2択になります。

項目 現状のまま売却 解体して更地で売却
主なメリット 解体費用がかからない。 買主が見つかりやすい。建物の瑕疵担保責任を負わない。
主なデメリット 買主が見つかりにくい。 固定資産税が翌年から最大6倍になる解体費用がかかる。
費用の目安 仲介手数料(売却価格の3%+6万円+税) 仲介手数料 + 解体費用(木造30坪で約120万~200万円)

【重要な税金対策】
売却益が出た場合にかかる譲渡所得税を大幅に軽減できる**「空き家の3,000万円特別控除」**が適用できる可能性があります。要件が複雑なため、必ず税理士や不動産業者に確認してください。


ステップ4:各種契約の解約・名義変更手続き

  • 公共料金の解約・精算: 電気、ガス、水道は使用停止の手続きを行います。空き家状態が続く場合でも、防犯や換気のために電気契約を維持するという選択肢もあります。
  • 保険の解約: 売却・解体が決定したら、火災保険や地震保険は解約し、未経過期間分の保険料の返戻を受けましょう。

実家じまいで「後悔」しないための3つの心構え

実家じまいの成功は、手続きの効率だけでなく、心の整理にかかっています。

  1. 「時間」と「お金」で解決できることは専門家に委ねる: 全てを自力でやろうとせず、不動産売却・税金、そして片付けはプロに任せ、自分たちは思い出の品の選定など、感情的な作業に集中しましょう。
  2. 「完璧」を目指さない: 「7割片付けばOK」という気持ちで進めましょう。残りの細かいものは、売却や解体の直前にまとめて処分する方が効率的です。
  3. 「親の意思」と「経済合理性」のバランスを取る: 親の気持ちを尊重しつつ、経済的な合理性を冷静に説明することで、実家じまいを「将来の安心を確保するための前向きな選択」として捉えられるよう対話を続けることが大切です。

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