不動産売却における契約不適合責任とは?概要や買主の権利を解説

2022-06-28

不動産売却における契約不適合責任とは?概要や買主の権利を解説

この記事のハイライト
●契約不適合責任とは、引き渡した目的物が契約内容に適合しないものであった場合に売主が負うべき責任のこと
●契約不適合責任において買主が請求できる権利は5つある
●インスペクションをおこなうことにより物件引き渡し後のトラブルを防げる

不動産売却をおこなう前に知っておきたい言葉に、「契約適合責任」があります。
不動産売買契約の際に使われるもので、2020年4月の民法改正時にこれまで瑕疵担保責任と呼ばれていたものが、契約不適合責任といった名称に変更となりました。
この記事では、契約不適合責任の概要や買主の権利、インスペクションをおこなうことの重要さについて解説していきます。
神戸市須磨区・垂水区・長田区・兵庫区などでこれから不動産を売却しようと検討されている方の参考になると思いますので、ぜひご一読ください。

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不動産売却時における契約不適合責任とは

不動産売却時における契約不適合責任とは

契約不適合責任とは、買主に引き渡された目的物が、種類・品質・数量・移転した権利に関して「契約内容に適合しない」ものであった場合に、売主が負うべき責任を定めたものです。
もともとは「瑕疵担保責任」と呼ばれていたものですが、2020年4月の民法改正に伴い「契約不適合責任」として制度の整理と追加がされました。
以前の瑕疵担保責任よりも、売主側の責任が重くなっているので、不動産を売却する方はしっかりと理解しておきましょう。
売主は、契約内容に適合しないものを引き渡したあとに契約不適合責任を問われます。
たとえば、中古不動産で雨漏りなどの不具合が生じている場合、売主は買主に雨漏りがあることを伝えて了解を得て、売買契約書にもその旨を明記してあれば契約不適合責任に問われるリスクを軽減できます。
その一方で、売買契約書に雨漏りの事実を記載していない場合は、引き渡し後に雨漏りの修繕を求められたり、補償を請求されたりする可能性があるので、注意が必要です。
契約不適合責任は、契約内容に適合しているかどうか、契約書に不具合が記載されているかどうかが、重要なポイントとなります。

不動産売却における「瑕疵担保責任」と「契約不適合責任」の違い

前述したように、契約不適合責任はもともと、瑕疵担保責任として効力を有していました。
では、単なる名称変更だけでなく、何が変更となったのでしょうか。
瑕疵担保責任を先ほどの雨漏りの事例で考えてみましょう。
購入前に雨漏りがあることを知らずに購入し、購入後に買主が雨漏りを発見した場合、発見後1年間は売主に対して損害賠償請求ができ、瑕疵によって契約の目的を達することができない場合は、契約解除ができます。
もし売主が雨漏りを把握していたにも関わらず、買主へ伝えずに売買した場合は、発見後1年経過していたとしても損害賠償請求や契約解除が可能です。
瑕疵担保責任は、買主が通常の注意を払っても発見できなかった「隠れた瑕疵」があるかどうかがポイントとなります。
一方で、契約不適合責任は、契約書に記載されていない不具合や欠陥があった場合に「契約内容に適合しない」と判断され、売主は責任を負わなければなりません。
契約書への記載の有無が、大事なポイントとなります。

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不動産売却で契約不適合が発生した場合に請求できる買主の権利

不動産売却で契約不適合が発生した場合に請求できる買主の権利

瑕疵担保責任では、買主側は契約解除と損害賠償請求の2つの請求が可能でしたが、契約不適合責任では以下の5つの請求ができるようになりました。

  • 追完請求
  • 代金減額請求
  • 催告解除
  • 無催告解除
  • 損害賠償

それぞれ確認していきましょう。

追完請求

雨漏りやシロアリ被害などの欠陥があった場合に、契約内容(欠陥がない状態)に適合するように、売主に補修を求めることができます。
たとえば、売買契約書にシロアリ被害について記載されていなかったにもかかわらず実際はシロアリ被害がある場合、買主は追完請求ができます。
当然のことですが、契約書にシロアリ被害について記載がされていれば追完請求はできません。
売主が追完請求を受けないようにするためには、売却する不動産の内容をよく把握して、契約書に記載漏れのないようにすることが大切です。

代金減額請求

相当の期間を定めて催告し、売主が期間内に追完請求を実行しない場合、または追完不能の場合、買主は売主に対して無催告で請求できます。
補修できるものであれば、まずは追完請求をおこなって補修してもらいますが、補修できないまたは売主が補修しない場合には、代金の減額請求をおこなうことができます。

催告解除

催告解除とは、追完請求をおこなったにもかかわらず売主が応じない場合に、催告して契約を解除することです。
ちなみに催告とは、相手方に対して一定の行為をするように請求することです。
売主が追完請求に応じない場合は代金減額請求ができますが、不動産の場合は売買代金が減額されても、住むために高額な費用がかかってしまう欠陥がある事例が少なくありません。
そのため、買主は催告解除をおこなうことができます。
ただし、不履行が軽微なものである場合は、契約解除は認められていないので注意しましょう。

無催告解除

無催告解除は、追完請求をおこなったにもかかわらず、売主が応じない場合に買主が催告せずに直ちに契約解除することです。
「債務の全部の履行が不能であるとき」や「債務者がその債務の全部の履行を拒絶する意思を明確に表示したとき」、「債務者が履行しないでその時期を経過したとき」などに無催告解除できます。

損害賠償

目的物件が契約内容に適合しないことに対し、売主の責めに帰すべき事由であれば、売主に損害を補填してもらう損害賠償請求ができます。
契約不適合責任で請求できる損害賠償は、信頼利益と履行利益の2種類あります。
信頼利益は、契約が有効であると信じたことによって受けた損害のことです。
不動産売却でかかった仲介手数料や登記費用などが該当します。
履行利益は、契約が成立したならば得られたはずの利益を失った損害のことです。
転売利益や購入した不動産を賃貸で貸し出したときの賃料などが該当します。
売主が故意に隠していた場合や、売主の過失で生じた損害がある場合には、損害賠償請求が可能です。

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不動産売却で契約不適合責任を回避するためのインスペクション

不動産売却で契約不適合責任を回避するためのインスペクション

インスペクションとは、建物状況調査のことです。
建築士などの専門家が、住宅の劣化や不具合を調査し、欠陥の有無や補修すべき箇所などを客観的に調査するものです。
不動産取引の際に、調査結果を消費者に開示して、消費者の不安を解消する目的としてインスペクションをおこないます。
インスペクションの調査対象となるのは、基礎・壁・柱などの構造体力上主要な部分や、屋根・外壁・開口部などの雨水の侵入を防止する部分となります。
インスペクションは義務ではないものの、重要事項説明においてインスペクション実施の有無を買主に説明しなければならないというルールが、不動産会社に課されています。
このように、不動産取引において重要な項目とされているインスペクションは、売主・買主の双方にメリットがあります。
売却前にインスペクションをおこない、建物状況を明らかにしておくことにより、買主にとっては住宅の質の不安が解消され、売主にとっては物件引き渡し後のトラブルを防ぐことができるのです。

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まとめ

不動産を売却したあとの、売主の契約不適合責任について解説してきました。
売主は物件を引き渡したら終わりではなく、引き渡し後に契約不適合責任に問われる可能性があることを理解しておきましょう。
売主・買主双方のトラブルを防ぐため、売却する前にインスペクションを実施して、安心した取引ができると良いですね。
私たち「プライムホーム」は、神戸市須磨区・垂水区・長田区・兵庫区などで仲介や買取を専門として活動しています。
これから不動産売却を検討されている方が安心して取引できるように、しっかりお手伝いさせていただきますので、まずはお気軽にご相談ください。

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